サプライズ・デー
浦飯が帰ってきた。
といっても、蔵馬と街中で話しているとき、いつの間にかいたというだけのこと。
相変わらず趣味が悪い登場の仕方だ。
奴の態度が普通すぎて、まるで昨日も遊んだかのような錯覚に陥る。
「浦飯、もう雪村には会いにいったのか?」
「あ?あ、いやあ、今から・・・。」
「早く会いに行けよ〜!」
「螢子ちゃんはずっと待ってたんですよ?」
なんとなく歯切れの悪い言葉を返す浦飯から、1年前の危うい感じはすっかりなくなっていた。
「あいつ俺のこと覚えてるかな・・・。」
「はァアァ!?忘れるわけねえだろ!?」
「そうですよ、何言ってるんですか。」
ただ、お前が雪村のこと分からないかもな、とはさすがに言わないでおいた。
「今なら家にいるんじゃねえか?さっさと行け。」
「へいへい。」
嫌そうな返事に、待ち遠しいという気持ちが見え隠れしている。
実は雪村は、この1年半の間に髪が随分伸びて、
週に1度は顔を合わせている俺でもびっくりするくらい早足で大人になってしまった。
前にも増して綺麗になったしな。
ただ、もちろん浦飯も随分成長した気がする。
そりゃあ、傍から見りゃ分からねえだろうが、中身が成長したっていうか。
永遠のライバルである俺にはわかるぜ。
でも、お互い顔を合わせたら口げんかになりそうだな。
また「なんで3年以内に戻ってきたのか」なんて論点のズレた話題とかで。
ま、素直じゃないことは互いに百も承知だろう。
あいつらの関係は傍から見てると危なっかしくてじれったくて
なんだよお前らもうくっついちゃえよとか俺はいつも思っていたりしたわけだ。
たった1年半くらいじゃ変わらねえだろう、と思っていたけど、
2人のあの成長ぶりを見ると何とも言えねえな。
さっさと「恋人」になってくれたら俺も安心できるんだが。
「桑原君親父くさいですよ?」
俺の考えを伝えたら、俺も同じ考えですと言ったくせにこんなことを言う。
「プロポーズしてんだから恋人も何もないけどよ・・・。」
「確かにね・・・あれ?螢子ちゃんからメールですよ。」
「あ?」
カチカチ カチ
FROM:螢子ちゃん
TITLE:助けてください
幽助が街中に現れました…。
私が驚いてるのをよそに、
なぜか幽助が倒れたんですけど。
失礼だと思いませんか。
とりあえず、街中なので
馬鹿運ぶの手伝ってください(汗)
---END---
蔵馬の携帯の画面を覗き込んだ後、豪快にふきだした。
「ぶわあっはははは!やっぱり浦飯驚いたか!」
「予想以上に綺麗になってますからね。」
「仕方ねえ、優しい俺様が・・・って蔵馬!置いていくなよ!」
浦飯が目覚めた途端俺の顔がボコボコになったことは言うまでもない。
END
あとがき
桑原目線が書きたかっただけです・・・(爆)
大したオチじゃなくてすいません(笑)
私の小説は会話が多いんですけど、
桑原だけが幽助を「浦飯」と呼ぶので、判別しやすいです♪
幽助は一番最後に螢子ちゃんに会いに行くでしょうねw