カタリ・カタリ
締切った窓から差し込む日差しが、ソファを温める。
咥えていた煙草を灰皿に押し当て、幽助は溜息ともとれる紫煙を吐いた。
些細な言い争い、それだけだったのに。
去り際にあんな表情をされるとは思ってもみなかった。
そんなつもりで言ったのではなかったのに。
考えなしに吐いた言葉は彼女の涙腺を壊すには十分だったらしい。
あの表情がやたらと鮮明に浮かんで、身動きが取れない。
「………」
見開いた瞳から滑り落ちた涙。
一瞬震えて、すぐに噤まれた唇。
俯いて顔に掛かる髪を払いもせず、そのまま足早に去っていった背中。
―――最低だ。
無意識に棘を浴びせた自分が。
泣かせてから気付いた自分が。
それから何もしていない自分が。
でも。それでも、だから。
思い悩むのも君に会えないのも、もう限界だ。
両頬をパンと叩いて立ち上がると、幽助はジャケットを掴んで玄関へと向かった。
お願いだから、泣きやんで。 20081124
これも鳥遊飛鳥様のサイト「SONG FILE」様のフリー小説です!
喧嘩した後、螢子ちゃんは、
「もう謝れずに後悔なんてしたくない。」
と、死んでしまったときのことを思い出して、
幽助は、
「あいつをまた泣かせた。」
と後悔していればいいです^^^^^^←鬼畜