「愛」だと知ったから

初めは大した感情ではなかった気がする。

私の中のあんたといた一番古い記憶は小学校2年生。
いつも鼻水垂らして先生のスカートめくったり授業サボったり。
今思えばあの頃から絶対あんたの性格は出来上がっていた。

特に仲の良い友達ではなかった。
まあたまに一緒に家に帰ったり話したりはしていたけど。
まだ「幼馴染」とも呼ばれていなかった。

幼稚園、小学校、中学校、全部一緒だったたくさんの友達の中で私だけが「幼馴染」として残ったのは、
中学校に上がってからあんたに友達がいなくなったから。

毎日喧嘩してサボって怒られての連続。
よくもまあ懲りないなあと思いつつ、
「あいつにはもう私しかいない」ってことに妙な優越感を感じていた気がする。

「手のかかる幼馴染」から感情が一変したのは、中二のあの日。
頭の中が真っ白になって気づいた。
「それだけの感情ではない」こと。
そして、「あいつに私しかいない」んじゃなくて、「私にあいつしかいない」ってことにも。

「もう2度と人を愛せない」とかそんな大きな規模のものじゃなかった。
そんな大恋愛だなんて、誰も思ってなかった。勿論私も。
でも、なんだかこれからあんたを超える人間は現れないだろう、だなんて思ってた。

「好き」という感情だけじゃなく、「必要」だということを知った。

どうしてあんたなんだろうね。
考えても答えは絶対出ないと思うけど。

ただ、あのときあんたが死んでなかったら、
私達は今でもあの頃の「幼馴染」のままだった。
それだけは確信している。

あんたが生き返って、また騒動に巻き込まれて、また死んで、転生して。
本当に問題の絶えない男だなあ、と思ってた。

でも、あの日のような後悔をする別れはきっと訪れない。
根拠もないのに考えてた。

だけど根拠がないのはお互い様ね。
保障もないのに「3年で帰って来る」から「結婚しよう」だなんて。

今までと同じように受け取らなかったのは、きっと・・・。





「『きっと』、なんだよ?」
「・・・なんでもない。」

一気に語った後、幽助が顔を真っ赤にして聞いてきた。
少し素直に語りすぎたかしら?

『女神様』の話をしたらもっと真っ赤になるだろうから、やめておこうかな。

END


あとがき

「幼馴染だから」とかいう理由じゃ括れないでしょうね〜。
絶対言葉に出来ない関係だと思います。
多分幽助も同じ。
「きっと」の続きがタイトルのつもりです。